会長からのラブレター


令和三年初春号 No.43

約40年前に書かれた本「先任将校-軍艦名取 短艇隊帰投せり」。

動機は忘れたが興味を感じて図書館を訪ねた。そこには無く道立図書館から取り寄せてくれた。
第二次大戦中、軍艦「名取」はフィリピン沖で魚雷攻撃を受けて撃沈された。
生き残った百九十五名が3隻のカッター(大型の手漕ぎボート)で六百km離れた陸地を目指して成功した記録である。
海難事故での漂流記は少なくないけれど、ほとんどは偶然救助されたものである。
食糧も飲み水も無く各自の時計は濡れて用を足さない。
コンパスや航海要具も無く狭いカッターの中で大勢の人が押し合いへし合いしている。
その状況の中で優れたリーダーと著者を含めた数名の士官達が知恵を出し合い毎日10時間漕ぎつづけ、13日後にたどり着く話である。

リーダーは27歳の大尉。
全員10代から20代の青年達が自力で極限の困難を克服する過程は感動的だ。
ともすれば明るい見通しが見えない日々が続くと不安や不信の念にかられて反乱の気配も出てきたりするが、賢明な言動により希望を持たせて過酷な運命を切り開いていく。
私たちの先輩達は若い頃からなんと素晴らしかったかを知る本でもあった。

その後筆者は海難事故を調べて死亡者の多数が事故そのものにもよるが、前途を悲観しての自殺と仲間の争いによるものが多い事を知る。
そして自身の体験を振り返り人間はビタミン、カロリーの不足による肉体的条件では、世間の常識を上回って生きることでできる。
その反面、自信を失ったり失望したりの精神的ショックにはきわめてもろいと語る。

やはり、そうなのだ。
強く明るい心をもつことなのだ。
コロナや年齢など気にしない。気にしない。
アッハッハ(笑)

先任将校-軍艦名取 短艇隊帰投せり

 

令和二年初秋号 No.42

このコラムで何回か紹介した木鶏クラブの若き友から、コミック「鉄人28号」の作者、横山光輝の「史記」全15巻を借りた。

きっかけは「致知」6月号に「三国志」の英雄、諸葛孔明の記事が載り、彼が横山の大ファンで、「三国志」全60巻や「史記」等を持っていると知ったからである。
私も図書館で三国志を見つけ読んでいたから話に花が咲き、「史記」を読ませてもらうことになった。

「史記」は古代中国の歴史書。今から2千5百年ほど前の史実が記録されている。
万里の長城の始皇帝や、項羽や劉邦達が登場する。
英雄たちが知略を巡らし颯爽と戦う「三国志」と、権謀術数、平然と裏切り残酷な場面の多い「史記」とは、全く印象が異なる。

史記の作者、司馬遷が編纂しながら「天道、是か非か」(天道、すなわち良いことをすれば良いことが起こる、というのは本当だろうか)と嘆ずるのは、余りにも非道な振るまいが行われているからである。

例えば始皇帝は数多の書籍を焼き罪もない学者達を殺す。
項羽は捕虜20万人を生き埋めにする。
劉邦の妻は毒殺、惨殺を繰り返し「中国の三大悪女」といわれるほどの所業を行う。
もしこの世に天(神)があるならばこのような行為を許すのだろうかと思わせるほどである。
歴史は雄弁である。

2千5百年という長い年月進化を遂げた人間社会であるが、その性はまったく変わっていないと思う。
「自国第一主義」とは、自分さえ良ければ良いという考え。
香港の自由を求める人達を約束を破って弾圧する中国共産党。
ロシアは政敵を毒殺しようとする。

「誓いを守り恩を忘れず、弱いものを助け己を捨て信義を貫く」
三国志の物語は、人間はこうであってほしいという現れであろう。
そうした希望を少しでも自分の行いとしたいものだ。

 

令和二年春号 No.41

巷で森進一の「北の蛍」が流行っていた35年前、私は急性肺炎で45日間入院した。
当時少しばかりの成功に酔い華々しく展開した事業が1年も経つと毎月の支払いに苦しむようになった。
「倒産」の二文字が浮かび眠れない日が続いた。

そんなある日予定していた大口の入金が遅れるとの連絡が入った。
忘れもしない、この時胸に熱い稲妻が走るのを感じた。
その夜から高熱を出し即入院。

治療と言えば良い薬も頂いていたのだろうけれど、ひたすらベッドで安静にして寝るだけの日々。
廊下を歩いていても注意される始末。
20日も経って『体調も戻った、もう大丈夫』とレントゲン室へ行ってもまだダメと言う日が3週間続いた。

やっと退院、厳重に風邪を引かないこと、再発の恐れありと言われた。
以来、うがい手洗い、汗をかいた後の肌着はすぐ着替える、寝るときには楽しいことを考える等気を使い風邪で寝込んだことはない。
同時に中村天風さんの教えに学び、体は心の持ち方で強くも弱くもなることを学んだ。

今その時の心の有り様を振り返ると、病に倒れるのが当たり前だったと良く解る。
ビクビクと心配し不安で酒の力を借りても眠れない。
うとうととして夜中に今月の入金と支払いの計算をする。
やはり足りない、さぁどうしようと明け方まで悩んでいる。

今、世の中はコロナウィルスで大騒ぎ。
私の病にかかった時と同じ心持ちの人が余りにも多いと感じる。
気をつけなければならないのは当然だが、心配のしすぎ、不安だどうしようとストレスを溜めてどうする。
マスコミの時代だから仕方がないと言えばそうなのだが、ワイドショーを見て不安になり新聞を読んで暗い気持ちになる。
日々を縁ある人と助け合い喜び合って生きることを考えもせず傍観していてどうする。

このウィルスとの戦いは長くなる。
そしてこれを克服しても次の新型が来る。
それは近年のサーズ、マーズを見ていても予見できることだ。
その度に今回のように右往左往してどうする。
人間はもっと強いものだと信じて行動しよう。