その日私は「天才」を見た。
11月2日、北大学術交流会館。
身障者グループ「札幌いちご会」の講演会 <<分身ロボットが人の可能性を広げる>>
若々しく長髪で整った顔立ち。
自身がデザインしたという「黒い白衣」を着て颯爽と演台に立つと恐ろしく早口で語り始めた。
まずその黒い白衣のカッコよさと便利さ、機能について。
名刺、財布はもちろんノートPCやスケッチブック、ペットボトルに長い傘まで収納できると自慢する。
なるほど!ただ夏は暑いそうだ。
しかし「暑さを我慢するか、着たくもない服を着ることを我慢するかを考えた時暑さなど大した問題ではない」と云う。
自分が欲しいものを作るのが信条の彼にしての言葉である。
幼いころから工作好きで折り紙が得意。
学生時代「折り紙王子」略して「オリィ」と呼ばれるようになり現在の彼の会社名も「(株)オリィ研究所」である。
ただ中学時代は人と馴染めず、不登校、引きこもりの時期があった。
その時の体験が彼のミッション、「孤独を解消する」につながる。
引きこもりの時の孤独、自分が誰からも必要とされていないと感じ、辛さや苦しみに苛まれる状況。
その彼が変わるきっかけとなったのがロボットコンテストでの優勝と師匠と呼べる高校の先生と出会った事だ。
彼は人生が変わるのは「出会い」と「ワクワクすることをやる事」と、高らかに宣する。
その通りで先生の厳しい指導のおかげで日本最大のコンテストで電動ならぬ「電脳車イス」で優勝し世界大会でも受賞するという快挙を達成する。
そして現在の「心を運ぶ」分身ロボット「ORIHIME」の製作へと繋がる。
テレビやマスコミで取り上げられることも多く知っている人も多い事だろう。
最近では身体を動かすことのできぬALS患者の国会議員が「分身ロボット」を国会で使いたいと発言したのでさらに注目度がアップした。
私も2年程前、愛読する雑誌「致知」で彼を知り興味を感じていた。
多忙な毎日、リフォームの現場にこれを置いて進行状況が事務所で把握できたらと思ったからだ。
問い合わせのメールをすると即座に返事が来た。
使いこなせるかと今、思案中である。
「吉藤健太郎」後生畏るべし。