偉そうな事を云って申し訳ありません。

現在の日本ほど「若さ」を宝もののように考えている国はないのではないかと思う。
老いる事は弱くなる事、老化とは人間の価値が低下する事と考えている人が多いのではないでしょうか。
70歳の人間は50歳の人間より劣る、と。
私はそうは思わない。

人間の持っている力の1つの体力は確かに落ちる。
しかし総体の力として胆力、能力、判断力、断行力は失敗を乗り越え、真剣に積極的に生きる事により成長し質的に高まっていると思うのだ。

昔「あいつはまだ若い」と言うのは褒め言葉ではなかった。
老齢となり、病に苦しむ人も多かろう。昨日まで出来た動作が不自由になる事もある。
しかしその渦中、大きな気づきを得ているはずだ。
生かされている有難さと人生の意義について考えるようになる。

「貯えと年金で働かなくても食っていける」と趣味や道楽で日を過す人もいる。
冗談ではない、働くために食うのだ。
傍を楽にするための働きのエネルギーとして食事が必要なのだ。

40年も前「老後は趣味に生きたいという人がいるようだがそれは愚劣だ」ロケット博士として有名な糸川秀夫さんの言葉に出会った。
「何故か!趣味というのはその人の人生の主要な目標のアクセサリーだ。趣味に没頭し自分だけの人生に沈潜する生き方は創造的とはいえない。世の中と関係を保ち自分のライフワークを貫くべきだ」

糸川博士自身、バレエも踊りチェロも楽しむ、マルチ人間と云われたが組織工学の大家として世を導いた。
創造的に生きるとは難しい事のようだが、私は単純に周りの人に喜ばれる働きを考え実行する事だと思う。

「頭を使えば使うほど良くなる」というのが常識となってきたが70代の5人に1人が認知症という。それもうなぎ上りだ。
暴論だと叱られそうだが気楽にノホホンと生きていては人間失格。
危ういのだ。