「会長さんはどんな絵がお好き?」

京言葉の先生で日頃から何かと気に掛けてくださる、Fさんからの電話。我社の応接コーナーに飾っている色紙や軸の多くは、Fさんから頂いたものだ。
そのFさんのご子息が「全国公募日美展」の準大賞を受けられたとの弾む声。これまでの作品のなかで好みの物を下さるという。絵には関心が薄かった私。すぐ近くに近代美術館があり、その気になれば学ぶ機会は山程。不勉強な私に学ぶチャンスを与えてやろうとのご親切だと「港の風景」の描かれている物を頂戴した。
見ていると和む気がしてきた。絵画の魅力が少し解ったようで嬉しくなった。
好きな物。楽しめる物が増えると、毎日が益々豊かになる。

嬉しかった事がもう一つ。
上得意先のH工業の会長の奥様から沢山のビールが届いた。数日前「自宅のトイレの流れが悪い。詰まったようだ」の連絡で直ぐに職人さんに向かってもらったが軽かったようで着いたときには直っていた。その手間を掛けたのを重く思われたようだ。こちらはいつもお仕事を頂いている立場なので恐縮してしまう。
「気を使って頂いてありがとうございます。飲んべえ達が喜んでいます」の電話に「皆さんに充たりますか?」と返される。
色々な取引先を見てきて、繁盛されている方々に共通しているのは、細かな気配りを感じる。又、一つ教えられた気がした。

毎日の会社帰りの車中で、ふと浮かぶのは今日の反省点。言葉使いや思慮の足りなさ。気転のきかぬ事、等々。
「本日は上々!」と自賛できる日は少ない。落ち込みながらも、それらを許し、認めて励ましてくれるお客様の顔も浮かんでくる。

「よし、明日こそ」と再び気力が湧いてくる。

「港の風景」

注「全国公募 日美展」プロ、アマ問わず応募でき、国立新美術館が展示会場となる。絵画部門と水墨画部門がある。