人間学を学ぶ雑誌「致知」2月号より引用
ヤナセの梁瀬次郎氏から聞いた話である。昭和二十年、第二次大戦敗戦。日本は都市という都市が空爆を受け、全土が焦土と化した。その敗戦から僅か十九年後の昭和三十九年、日本は新幹線を走らせ、高速道路を建設し、東京オリンピックを開催した。このことについて、梁瀬氏は親しくしていた元総理の吉田茂氏から質問されたという。
「梁瀬君、日本は何の資源もない国だ。その国がたった十九年でこれだけの復興を遂げたのはなぜだか分かるか」
梁瀬氏は即答できなかった。元総理は言った。
「日本には何の資源もないが、たった一つだけ資源があった。それは日本人の勤勉性という資源だ」
梁瀬氏は思わず膝を打って納得したという。
「失われた30年」と良くいわれる。
30年前「ジャパン・アズ・No1」といわれ国別、個人別GDP(国内総生産)と世界競争力ランキングは世界の1、2位であったが、現在は39位である。
ちなみに競争力ランキングの1位はシンガポール、中国は14位、韓国は20位。
これをどう感じるだろうか?
多くの方はこれを知らずに未だに日本は一流国だと思っているのではないだろうか?
19年で奇跡の復興を遂げ、バブルに酔い遊び呆けて30年で凋落した日本。
唯一の資源の勤勉性を失ったからではないだろうか?
とどめは「働き方改革」。
度が過ぎるブラック企業は悪だが「あつものに懲りてなますを吹く」の通り長時間働くのはいけないというお達しには疑問符がつく。
古くからの「働くことは傍を楽にすること」「仕事は自分を磨く修行」との考え方とは真逆の「労働は苦役である」という考え方。
『嫌な気で働くと疲れは倍加する』。
私が知る元気な人達は「働き方改革など余計なお世話」と毎日イキイキと仕事に励んでいる。
加えて労働力不足がいわれている今、元気な高齢者と引きこもりの若者が現場に立てば解決するのではないだろうか?